
鐵 宏之
合同会社鐵社会福祉事務所 代表社員/てつ福祉相談室 管理者
主任介護支援専門員 社会福祉士
第9回
会議における記録の整理としての生活支援記録法の活用①
ケアマネジャーは,多職種連携をする中でさまざまな会議の場に参加することがあります。特に代表的な会議は,①サービス担当者会議,②医療機関でのカンファレンスが挙げられます。今回は,これらの会議における記録の整理として生活支援記録法を活用した方法を示していきます。
生活支援記録法とは,F(着目点)ごとに,S+O→A→I→(S)→Pという一連の援助を記録する方法です(表1)。
サービス担当者会議の要点〈4表〉と支援経過記録〈5表〉の役割分担
サービス担当者会議の要点〈4表〉と支援経過記録〈5表〉の内容が重複してしまう,二度手間になってしまうという声を時々耳にすることがあります。また,サービス担当者会議の要点にはぎっしりとやり取りが記載されているのですが,支援経過記録には「サービス担当者会議の要点を参照」とだけ記載されているという記録を見かけることもあります。
私見ではありますが,サービス担当者会議の要点と,支援経過記録の役割分担をどのようにすればよいのかについて解説します(図1)。
・サービス担当者会議の要点
「サービス担当者会議の要点」の名が示すように〈4表〉はサービス担当者会議における重要な事柄を記載する書式です。検討した項目,検討内容,結論,残された課題と記載内容が決められていることが特徴です。そのため,ここにはサービス担当者会議における詳細を記載するのではなく,項目に沿った要点を記載することが目的と言えます。
・支援経過記録
支援経過記録は,サービス担当者会議の要点の詳細について記載することが役割と言えるでしょう。
生活支援記録法を活用したサービス担当者会議の記録
サービス担当者会議は,平成11年厚生省令第三十八号指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(第十三条第九号)に次のように定義づけられています。
「介護支援専門員は,サービス担当者会議(介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために,利用者及びその家族の参加を基本としつつ,居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を召集して行う会議をいう。以下同じ。)の開催により,利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに,当該居宅サービス計画の原案の内容について,担当者から,専門的な見地からの意見を求めるものとする。(以下略)」
居宅サービス計画(以下,ケアプラン)とは,利用者の望む暮らしを実現するために,その課題(ニーズ)をいかに解決していくかについて記載されたものです。そのため,サービス担当者会議とは利用者や家族にとっての課題を,利用者および家族,ケアマネジャー,サービス担当者がどのように解決に向けて取り組むのかを話し合う場と言えます。この点について,WAMNETホームページや各法定研修資料にもケアプランの原案の確認と議題の検討,議題ごとの利用者や家族の意向,専門職の意見の確認という手順を踏むことが記載されています。ここで言う"議題" とは,ニーズと言い換えることができると思います。
サービス担当者会議において議論する"課題" は,生活支援記録法におけるF(着目点)に関連することができます。また,利用者の意向はS,家族の意向はS家族,他職種の意見はO,SとOを踏まえたケアマネジャーの考えはA,ケアマネジャーの提案やまとめはI,今後の方針はPとすることができます。
〈4表〉においては,検討内容に支援経過記録におけるFに関連したことを記入することができます。「関連した」と表現をしているのは,前述のとおり〈4表〉は要点を書くための書式だからです。支援経過記録のFをそのまま要点に記載せず,関連したFを統合して記載します(資料1)。
その際,検討内容ごとに「①②③…」と数字を振り,結論,残された課題についても検討内容に関連していることが分かるように「①②③…」と整理して記載します。
サービス担当者会議を実施する際,サービスごとに利用状況を確認する人もいるかもしれません。その場合,支援経過記録には「F:サービス事業所報告」と記載します。しかし,サービス事業所の報告には複数の課題が含まれており,記録から課題を読み取り分類する手間が生じます(図2)。そのため,課題ごとにサービス事業所からの見解を確認することにより,サービス担当者会議の支援経過記録をまとめやすく,かつサービス担当者会議の要点〈4表〉も整理しやすくなります(図3)。
(②へ続く)
※本記事は『達人ケアマネ』2020年10-11月号(vol.15 no.1)の誌面に掲載したものです。
鐵 宏之●2004年3月日本社会事業大学社会福祉学部福祉援助学科卒業。知的障がい者施設の支援員,有料老人ホーム介護職員,デイサービスおよびショートステイの生活相談員,管理者を務め,2011年3月介護支援専門員を取得。2012年9月より居宅介護支援事業所にて勤務。2018年2月新座市で独立型居宅介護支援事業所の「てつ福祉相談室」を開設。埼玉県介護支援専門員更新研修ファシリテーター,介護職員初任者研修講師,ケアマネジャー向け研修,株式会社ウェルモのCPA(AIを使ったケアプラン作成)のアドバイザー,産業ケアマネジャーを行う。生活支援記録法との出合いは2016年5月,埼玉県立大学IPW専門職連携講座に通っている際に,開発者である嶌末准教授から「鐵さん,これ面白いからやってみて」と渡された1枚のA3用紙に書かれた記事がきっかけ。2018年1月より,現場向けの学びの機会が必要と考え独自のプログラムを考案,各地で研修や勉強会を始める。2018年1月~2019年7月時点で全国30カ所,1,000人以上の医療,介護,福祉,教育関係の専門職に生活支援記録法の勉強会を開催。