
鐵 宏之
合同会社鐵社会福祉事務所 代表社員/てつ福祉相談室 管理者
主任介護支援専門員 社会福祉士
第10回
会議における記録の整理としての生活支援記録法の活用②
生活支援記録法を用いたサービス担当者会議の要点記録
脳梗塞後遺症による退院後の支援のためのサービス担当者会議を例に挙げて,記録法を解説します。
〈事例〉
Aさん,70代,男性
脳梗塞後遺症による左上下肢軽度麻痺,要介護1
妻と戸建て住宅に居住
〈課題〉
・脳梗塞後遺症による左手握力低下および左足先の痺れによる室内外での転倒不安の解消
・屋外歩行時の歩行不安定の改善
・脳梗塞の再発防止
Aさんのサービス担当者会議に関する記録は,支援経過記録に記載されています(表2)。Fは5つ挙げられており,それぞれに関して記載されています。
F:床からいすへの生活環境
F:今後の通院
F:薬局変更の提案
F:浴室周囲の環境整備
F:外出に向けての住環境整理
主に,後遺症による体の状況,退院後の体調管理,住環境の整理に焦点が当てられているので,「サービス担当者会議の要点」には,支援経過記録のFを統合して3つの項目を記しています(表3)。結論,課題については検討された内容に合わせてまとめていきます。
病院におけるカンファレンスの記録
ケアマネジャーが参加するカンファレンスとして,病院で行われる入院中や退院前カンファレンスがあります。医師や看護師,リハビリテーション職ほか,多くの職種が参加するものです。そのカンファレンスの記録を生活支援記録法で整理するポイントについて解説します。
病院でのカンファレンスは,職種ごとに複数の課題を話す場面が多いのではないでしょうか。例えば,看護師が病状,歩行,排泄,食事など療養全般の話をし,次にリハビリテーション職がリハビリテーション職の視点から病状,歩行,食事などについて話をするなど,重複する課題が職種ごとに繰り返されることがあります。図4に示すように,それぞれの職種により専門領域があるものの,いくつもの共通する課題について報告をする傾向があると言えます。
しかし,このようなカンファレンスの流れのまま,職種ごとの発言に着目して記録をすると図5のようになり,職種ごとの発言は分かるものの,各職種で重複するテーマが記載されます。ケアマネジャーがカンファレンスで必要なことは,職種ごとの発言よりも利用者にある課題の情報収集と分析です。職種ごとの発言をFとすると,情報収集と分析が行いにくくなります。
そのため,記録を作成する時には図6のように課題ごとに着目し,各専門職の発言をOとして記録します。これにより,課題に対しての各専門職の見解を読み取りやすくできます。
まとめ
サービス担当者会議であれば会議の進行をケアマネジャーが行うため,課題ごとに話し合いをすることが可能であり,それにより課題整理や記録を書きやすくできます。
病院カンファレンスは病院側が司会進行を行うため,メモの段階であらかじめFを複数設定し,それを基に整理して記録するという工夫が必要でしょう。
※本記事は『達人ケアマネ』2020年10-11月号(vol.15 no.2)の誌面に掲載したものです。
鐵 宏之●2004年3月日本社会事業大学社会福祉学部福祉援助学科卒業。知的障がい者施設の支援員,有料老人ホーム介護職員,デイサービスおよびショートステイの生活相談員,管理者を務め,2011年3月介護支援専門員を取得。2012年9月より居宅介護支援事業所にて勤務。2018年2月新座市で独立型居宅介護支援事業所の「てつ福祉相談室」を開設。埼玉県介護支援専門員更新研修ファシリテーター,介護職員初任者研修講師,ケアマネジャー向け研修,株式会社ウェルモのCPA(AIを使ったケアプラン作成)のアドバイザー,産業ケアマネジャーを行う。生活支援記録法との出合いは2016年5月,埼玉県立大学IPW専門職連携講座に通っている際に,開発者である嶌末准教授から「鐵さん,これ面白いからやってみて」と渡された1枚のA3用紙に書かれた記事がきっかけ。2018年1月より,現場向けの学びの機会が必要と考え独自のプログラムを考案,各地で研修や勉強会を始める。2018年1月~2019年7月時点で全国30カ所,1,000人以上の医療,介護,福祉,教育関係の専門職に生活支援記録法の勉強会を開催。