
鐵 宏之
合同会社鐵社会福祉事務所 代表社員/てつ福祉相談室 管理者
主任介護支援専門員 社会福祉士
第11回
生活支援記録法を活用したスーパービジョン
記録を用いたセルフスーパービジョン
記録を基に支援を振り返り,生活支援記録法に書き換えるという過程から,個人で行うセルフスーパービジョンの方法をお伝えします。
◆用意するもの
・ケアマネジャーが振り返りたいと思う場面の記録
・生活支援記録法ワークシート(鐵バージョン)(表1)
◆手順
①振り返りたいと思う場面の記録を用意する。
②振り返りの場面を選んだ理由をFに記載する。
③選定した場面について,SOAIと一連の援助を振り返って考えたことと気づきをPに記載する。
④場面を振り返りながら,生活支援記録法ワークシートの上段に記載する(支援の振り返りを意識する)。
⑤上段のメモを基に下段を記入する。
* * *
記録を書くという行為自体,場面や実践を振り返る過程が存在するため,セルフスーパービジョンを行っていると言えます。日頃からこのことを意識して実践することで,支援の質の向上につながります。
スーパービジョンとしての活用
職場内での活用を想定しています。スーパーバイザーとスーパーバイジーの2人で行います。
◆用意するもの
・ケアマネジャー(スーパーバイジー)が振り返りたいと思う場面の記録
・生活支援記録法ワークシート(鐵バージョン)(表2)
◆パターンA:ケアマネジャーが生活支援記録法を用いていない場合
①ケアマネジャー(スーパーバイジー)は,振り返りたい(支援の困難を感じている)場面の記録を用意する。
②スーパーバイザーは生活支援記録法ワークシートの説明を行い,スーパーバイジーが振り返りたい場面の記録を生活支援記録法に変換し,清書まで行う。
③スーパーバイジーは,出来上がった生活支援記録法をスーパーバイザーに説明する。
④説明を基に,スーパーバイザーは各項目を深く堀り下げ,スーパーバイジーの振り返りを促す。
⑤一連の振り返りで得られた気づきを共有する。
* * *
生活支援記録法への変換を行うことにより,スーパーバイジーは場面を振り返り,思考の整理を行うことができます。場面の説明が容易となったり,スーパーバイザーがスーパーバイジーが行っている支援を確認しやすくなったりして,適切な助言や促しが行いやすくなります。
◆パターンB:ケアマネジャーが生活支援記録法を用いている場合
①ケアマネジャー(スーパーバイジー)は,振り返りたい(支援の困難を感じている)場面の記録を用意する。
②スーパーバイジーはスーパーバイザーに記録の説明を行い,支援を共有する。
③説明を基に,スーパーバイザーは各項目を確認し,スーパーバイジーの振り返りを促す。
④一連の振り返りで得られた気づきを共有する。
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生活支援記録法を日頃から用いることは,日常からセルフスーパービジョンを行うことになります。そこにスーパーバイザーの視点が加わることにより,新たな気づきを得ることが期待できます。また,場面を他者に分かりやすく説明する練習にもなります。
事例検討会(グループスーパービジョン)(図1)
これまでの事例検討会では,支援経過記録が用いられることはほとんどありませんでした。基本的には,事例概要やケアプランを用いているのではないでしょうか。
事例検討会では事例提供者が事例を提供する目的や支援への課題が曖昧であることが多く,限られた時間内で検討する上で議論が散逸する傾向がありました。ここでの事例検討会は,課題を絞って困難な状況を解決する方法を議論するのではなく,事例提供者の気づきや,事例検討を通して参加者が気づきを得ることを目的として行うものと想定しています。
ここでは,生活支援記録法を活用した事例検討会の手法を提案します。
◆用意するもの
・事例概要(事例提供者が検討したいことが記載されているもの)
・生活支援記録法のうち,事例提供者が検討したい場面が記録されているもの
※Fを1つ抜き出すのではなく,一連の支援が記録された場面を用意します。それにより,場面における支援内容の全体を把握することができます。
◆時間:30分程度
◆事例提供者:事例概要と,振り返りたい場面が生活支援記録法で書かれた記録について解説します。そして,検討したい課題について明確にします。
◆参加者:ケアマネジャー,地域包括支援センターの職員など(10人前後)
※人数が多いと事例提供者が委縮してしまうためです。
※事例提供者,参加者双方の新たな気づきを得ることを目的とします。支援の批評やサービスの提案といった方法論にならないよう気をつけます。
◆司会者:事例検討が解決方法の議論にならないように,参加者の発言や事例提供者の発言を促します。
◆手順
①司会者が事例検討会の目的を,事例提供者と参加者に伝える。
②事例提供者は,事例概要と振り返りたい場面の記録,検討したいことを説明する。
③参加者は事例概要+記録+事例提供者の解説から,事例提供者の気づきを促す質問を行う。
④事例提供者は質問への回答を行う。
⑤司会者は質問や回答の意図が不明確な場合,その意味を確認する。
⑥事例検討会の終了時に得られた気づきを,事例提供者と参加者で共有する。
※本記事は『達人ケアマネ』2020年12-1月号(vol.15 no.2)の誌面に掲載したものです。
鐵 宏之●2004年3月日本社会事業大学社会福祉学部福祉援助学科卒業。知的障がい者施設の支援員,有料老人ホーム介護職員,デイサービスおよびショートステイの生活相談員,管理者を務め,2011年3月介護支援専門員を取得。2012年9月より居宅介護支援事業所にて勤務。2018年2月新座市で独立型居宅介護支援事業所の「てつ福祉相談室」を開設。埼玉県介護支援専門員更新研修ファシリテーター,介護職員初任者研修講師,ケアマネジャー向け研修,株式会社ウェルモのCPA(AIを使ったケアプラン作成)のアドバイザー,産業ケアマネジャーを行う。生活支援記録法との出合いは2016年5月,埼玉県立大学IPW専門職連携講座に通っている際に,開発者である嶌末准教授から「鐵さん,これ面白いからやってみて」と渡された1枚のA3用紙に書かれた記事がきっかけ。2018年1月より,現場向けの学びの機会が必要と考え独自のプログラムを考案,各地で研修や勉強会を始める。2018年1月~2019年7月時点で全国30カ所,1,000人以上の医療,介護,福祉,教育関係の専門職に生活支援記録法の勉強会を開催。