Free_支援記録の書き方・活かし方

鐵 宏之

合同会社鐵社会福祉事務所 代表社員/てつ福祉相談室 管理者
主任介護支援専門員 社会福祉士


第7回

訪問以外での生活支援記録法の活用①





 前回までは生活支援記録法の各項目の詳細などについて解説しました()。今回から,訪問などの直接向かい合う場面以外での生活支援記録法の活用に関して,場面や事例を基に解説していきます。






訪問などの面接以外での記

 ケアマネジャーの援助は,面談以外においても行われています。具体的には,電話,ファックス,Eメールや,医療介護連携で使われる情報連携ツール(メディカルケアステーション〈MCS〉,スラックなど)を活用しての利用者,家族,サービス担当者とのやり取りが挙げられます。



 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,訪問による接触を避けるため,電話などで代替することが特例で認められるようになりました(厚生労働省:「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」のまとめ)。今後は,訪問以外の方法を活用し,情報収集と整理を行うことも重要なスキルと言えます。



 情報量が多い場合は,場面ごとに記録の仕方を工夫することが求められます。そのような場合は,生活支援記録法が効果を発揮します。訪問,面談,電話,ファックス,Eメール,MCSなどの情報連携ツールでのあらゆる場面で活用を検討してください。





電話による生活状況の確認

〈事例概要〉

 80代,男性,要介護1,独居。右膝人工関節置換術の既往歴があり,現在も整形外科に通院。膝痛はあるが,杖を使用して近所への買い物や散歩など外出をしている。自宅内の家事は概ね行うことができている。



 短時間運動型デイサービスを週3回利用しているが,新型コロナウイルス感染への不安から自粛している。



 従来の記録法では多くの場合,次のような記録内容になっていると思います。



○月○日 10:00 ~10:15

本人へ電話

 最近膝の具合が悪くて,あまり出かけていないとのこと。デイサービスは,新型コロナウイルスへの感染が心配なので,来月も休みにしたい。食事は食べることができているが,買い物にはあまり行けなくなったとのこと。



 従来の記録法では,「~とのこと」と記録されることがあります。この場合,主語と本人の言葉が不明確と言えます。また,「膝の痛み」「食事」「買い物」「外出」などが話題に上っていますが,ケアマネジャーはどのようなかかわりをしたのかが不明確です。



 一方,生活支援記録法では,次のような記録内容になります。



○月○日 10:00 ~10:15

本人へ電話

S:最近膝が痛み,外出ができていないです。病院も新型コロナウイルスへの感染が心配で,病院に行くのを控えています。

F:膝の痛み

A:通院控えと外出自粛により足の筋力が低下し,痛みが悪化している可能性がある。

I:痛みが強くなっているようであれば,病院に電話し,通院すべきかどうか相談してはどうか。

S:そうですね。相談してみます。

P:膝の痛みの状態を確認する。



F:食事

S:膝が痛いのと,感染が心配で外に出られないので,買い物は生協で取り寄せるようにしています。あまりおなかが空かないですが,食事は食べてはいます。

A:デイサービスの利用控えや外出自粛,膝痛から活動が減り,食欲が低下しているのかもしれない。食事量の減少により,栄養状態の低下やフレイルが心配される。

I:マスクをして近所を散歩したり,体操をしたりして,肉や魚などタンパク質を意識した食事を摂ることで筋肉が維持できます。

S:そうですね。少し意識してみます。

P:食事がバランスよく摂取できているか確認。



F:デイサービスの自粛

S:新型コロナウイルスのことがまだ心配。来月もデイサービスを休もうと思う。

A:自粛が長期化することで,活動機会の減少が心配される。

I:デイサービスを休むことは感染リスクの軽減につながるが,運動不足が心配される。デイサービスで取り組んでいる体操や近所の散歩を続けてほしい。また,状況が落ち着いたら再開も検討してほしい。

S:そうだね。運動するようにするよ。また利用できるようになればいいと思う。

P:周囲の新型コロナウイルスの感染状況,およびデイサービスの取り組みを確認し,本人に情報提供する。


(➁へ続く)



※本記事は『達人ケアマネ』2020年8-9月号(vol.14 no.6)の誌面に掲載したものです。



鐵 宏之2004年3月日本社会事業大学社会福祉学部福祉援助学科卒業。知的障がい者施設の支援員,有料老人ホーム介護職員,デイサービスおよびショートステイの生活相談員,管理者を務め,2011年3月介護支援専門員を取得。2012年9月より居宅介護支援事業所にて勤務。2018年2月新座市で独立型居宅介護支援事業所の「てつ福祉相談室」を開設。埼玉県介護支援専門員更新研修ファシリテーター,介護職員初任者研修講師,ケアマネジャー向け研修,株式会社ウェルモのCPA(AIを使ったケアプラン作成)のアドバイザー,産業ケアマネジャーを行う。生活支援記録法との出合いは2016年5月,埼玉県立大学IPW専門職連携講座に通っている際に,開発者である嶌末准教授から「鐵さん,これ面白いからやってみて」と渡された1枚のA3用紙に書かれた記事がきっかけ。2018年1月より,現場向けの学びの機会が必要と考え独自のプログラムを考案,各地で研修や勉強会を始める。2018年1月~2019年7月時点で全国30カ所,1,000人以上の医療,介護,福祉,教育関係の専門職に生活支援記録法の勉強会を開催。