
鐵 宏之
合同会社鐵社会福祉事務所 代表社員/てつ福祉相談室 管理者
主任介護支援専門員 社会福祉士
第2回
ICTを活用できる環境を整備しよう②
スマートフォン,タブレット,パソコンの上手な活用
業務用スマートフォンを持とう
厚生労働省は,プライベートな端末ではなく,業務専用の端末を持つことをガイドラインに定めています。1人ケアマネジャーであっても,業務専用のスマートフォンを準備しましょう。また,電話による業務非効率を回避するため,旧来の携帯電話端末ではなくスマートフォンであることが重要です。
法人契約を活用しよう
固定経費を削減するためにも,スマートフォンにかかる費用はなるべく抑えたいところです。そのためには,個人契約ではなく法人契約の仕組みを活用することも有効です。
法人契約では,スマートフォン本体のリース代や通信容量,無料通話時間を1カ月あたりで決めることができるため,コストが計算しやすくなります。また,最新ではないものの,実用上問題のない機種を比較的安価で利用することができます。
MVNOが提供するプランを活用しよう
MVNOとは仮想移動体通信事業者の略称で,ドコモやソフトバンク,auといった大手通信事業者のネットワークを借りてサービスを提供する事業者のことです。基地局などの設備を持たない分,大手通信事業者と比べてコストを抑えることができます。通信速度や対応エリアに関しては,大手通信事業者と遜色ありません。プランがシンプルでかつ低価格なこともあり,通信費用を大幅に抑えることができます。
タブレット端末を活用しよう
スマートフォンでも,介護システムの入力はできないことはないのですが,画面が小さいため操作性に難があります。一方,ノートパソコンは画面も大きくキーボードもあるので入力しやすいのですが,重量があるため常時携帯するには不向きです。その点タブレット端末は,スマートフォンよりも見やすく,ノートパソコンより携帯性に優れています。
タブレット端末と言えば,Apple社のiPadが代表的です。最新のものは10万円を超えるものもありますが,状態の良い中古品が割安で販売されています。インターネットへの接続,介護システムの使用,メールやLINEの操作,写真撮影などの普段使いであれば,十分な性能です。
また,Apple社以外からも,さまざまなタブレット端末が販売されています。好みのものを選択するとよいでしょう。
ノートパソコンを活用しよう
タブレット端末に比べて携帯性は劣るものの,15.6インチの大型モニターのものからタブレット端末とほとんど大きさの変わらない12インチ以下のものまで,ラインナップは多様です。ノートパソコンのみで業務を完結することも可能です。
屋外での使用頻度が高い場合は,携帯性に優れたコンパクトなものがよいでしょう。室内での使用が中心であれば,大型のものでもよいでしょう。筆者は,サブ機として使用するため,14インチのものを使用しています。
Chromebookもお勧め
パソコンと言えば,Microsoft社のWindowsOSを搭載したものやApple社のMacOSを搭載したものが代表的です。それぞれ,パソコン内でデータ管理を行い,さまざまなソフトを運用できるというメリットがあります。インターネットに接続しなくても操作は可能ですが,値段が高くなる傾向があります。
対してChromebookは,Google社が開発したChromeOSを搭載したパソコンです。Androidスマートフォンと同じ感覚で,パソコンを操作することが可能です。パソコン本体へのデータ保存は最小限にし,クラウドストレージであるGoogleドライブにデータを保存します。
また,インターネットに接続することで,さまざまなアプリケーションを操作することが可能です。パソコン本体の価格も比較的安価であり,重量も軽く起動や操作性も良好な上,使用しているAndroidスマートフォンやタブレットとリンクさせることもできます。
ただし,周辺機器との接続は,有線による接続ではなくWi-FiやBluetoothなどの無線接続を前提としています。従来型パソコンで使っていたものが利用できなくなる場合もありますので注意しましょう。インターネットに接続しない状態(オフライン)では,使える機能が限定されます。
Microsoft社のOfficeソフト(Word,Excel,PowerPointなど)はWeb版のみの使用となり,機能が限定されることもありますが,同様の機能を持つGoogle社のアプリケーションを利用することができます。
パソコンの選定に必要な知識
次に,一般的なWindowsPCの性能の見方について解説します。パソコンを準備するにもお金がかかることですし,値段の割に低性能なものを購入してはもったいないです。パソコンを選定する際は,次のポイントを押さえておきましょう。
CPU
コンピューターの頭脳とも言える部品です。性能が良いほど処理速度に優れます。主に2つのメーカーがCPUを供給しています。
・Intel社 Core-iシリーズ
・AMD社 Ryzenシリーズ
どちらも優れた処理能力がありますが,これらのCPUには型番があり,それにより性能をある程度把握することが可能です。
〈Core-iシリーズの場合〉
Core-iシリーズには3,5,7,9と種類があります。数字が大きいほど性能が優れています。世代は,新しいものほど数字が大きく性能が優れており,現在は第14世代まで販売されています。末尾の3桁は,世代におけるCPUの特性を表しています。消費電力が少ないものやハイパフォーマンスモデルなど,さまざまな種類があります。
〈Ryzenシリーズの場合〉
Ryzenには,3,5,7,9と種類があり,数字が大きいほど性能が優れています。世代は,新しいほど数字が大きく,性能が優れます。末尾数字は,世代におけるCPUの特性を示しており,通常タイプ,省電力,高機能などがあります。
当然,高性能なCPUほど値段が高くなります。しかし,旧世代のCore-i7シリーズが最新世代のCore-i3シリーズと性能差がないということもあります。Ryzenシリーズも同様です。WebサイトにCPUの性能を比較したページもありますので,確認するとよいでしょう。パソコンのCPUの型番は,パソコンのタスクマネジャーから確認することができます。1度確認してみてください。
メモリ
CPUが頭脳であるなら,メモリは作業スペース,言い換えれば仕事机のようなものです。いくら頭が良くても,作業スペースが狭ければ効率的に仕事をすることができません。つまり,メモリの数は多ければ多いほどCPUの性能を引き出すことができ,パソコン全体の性能の底上げになります。メモリは,GB(ギガバイト)を単位としています。
〈メモリの目安〉
4GB…複数の作業を行うと,動作がもたつくことが多い。
8GB…複数の作業を同時に行えるが,作業数が多いと動作にもたつきが生じる。
16GB以上…複数の作業を行っても,動作はもたつかない。
ノートパソコンであれば8GB,デスクトップパソコンであれば16GB以上あるとストレスなく作業を行えるでしょう。使用しているパソコンのメモリの量や使用状況も,タスクマネジャーで確認することができます。
ストレージ(保存先)
クラウドストレージサービスも普及していますが,パソコン本体にデータを保存しておけば,オフライン作業ができるため健在です。HDDとSSDの2つの保存方式がありますので,それぞれの特性を解説します。
〈HDD〉
ハードディスク(高速で回転する金属製の円盤)にデータを読み書きします。後述するSSDに比べて読み書きに時間がかかることや重量があること,構造が複雑なため故障が起こることなどの欠点があります。価格は,SSDに比べると安い傾向があります。
〈SSD〉
半導体にデータを読み書きする方式です。SDカードやUSBメモリは,SSDの仲間です。HDDのような回転機構や金属による重量もないため,故障が少なく軽量で,読み書きの速度も速いため,現在のストレージの主流です。
以前はHDDに比べると容量が少なかったのですが,現在は1TB(テラバイト)の大容量SSDもあります。HDDよりも価格が高い傾向があり,大容量ほど価格が上がりますので,クラウドストレージサービスと併用してパソコン本体のSSDを小さくし,価格を抑えましょう。
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まとめると,CPUが新しく,メモリが多くあり,SSDによる保存ができるのが良いパソコンと言えます。家電量販店では,店舗によって不要なアプリケーションがインストールされていたり,値段の割に古いCPUや少ないメモリ量だったりすることがあります。
メーカーのWebサイトで販売しているパソコンや中古パソコンの方が安くて性能も良い場合もありますので,そちらもチェックしてみてください。
※本記事は『達人ケアマネ』2024年8-9月号(vol.18 no.6)の誌面に掲載したものです。
鐵 宏之●2004年3月日本社会事業大学社会福祉学部福祉援助学科卒業。知的障がい者施設の支援員,有料老人ホーム介護職員,デイサービスおよびショートステイの生活相談員,管理者を務め,2011年3月介護支援専門員を取得。2012年9月より居宅介護支援事業所にて勤務。2018年2月新座市で独立型居宅介護支援事業所の「てつ福祉相談室」を開設。埼玉県介護支援専門員更新研修ファシリテーター,介護職員初任者研修講師,ケアマネジャー向け研修,株式会社ウェルモのCPA(AIを使ったケアプラン作成)のアドバイザー,産業ケアマネジャーを行う。