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通所介護・通所リハビリテーションにおける新加算は魅力がない?

 2021年度介護報酬改定において,通所系サービスでは基本介護サービス費が3~5単位アップされ,介護報酬0.7%増と発表されているとおりの内容となりました。

 2020年より新型コロナウイルスへの感染予防による利用控えが長く続き,多くの事業所が赤字となり,事業を継続する上で介護報酬改定による加算の新設には大きな期待が寄せられていました。しかし,蓋を開けてみれば,新加算は科学的介護情報システム(以下,LIFE)の活用によるものがほとんどでした。

 LIFEへの情報提出とフィードバックを活用したPDCAサイクルによるケアマネジメントは,通所系サービスにとって手間と労力を伴うものであり,新加算の算定はしばらく様子を見ようと考える事業所も多いと思います。

 2018年度介護報酬改定で,ADL維持加算により初めて情報提出の仕組みが導入されましたが,全国の通所介護事業者の算定率は3~4%と低いものでした。その背景として,6カ月以上の評価期間と,20人以上の同一の利用者に対しバーセルインデックスを用いて評価を行い,利得値が一定以上であること,という算定要件があります。通所事業では利用者が変動しやすいことや,評価の手間の割に単位数が低いことから,手間に見合わないため算定率が低くなったのです。

 新加算の単位数は,旧ADL維持加算と比較し大幅にアップしました。その半面,栄養や口腔機能などについてサービス担当者会議での同意が必要なことや,評価が必要であるといったことから,算定へのハードルは低くありません。

 通所系サービスの新加算は,LIFEへの情報提出だけでなく,厚生労働省が示す様式に基づきスクリーニングや評価を行い,計画書を作成することが算定要件となっているため,小規模事業所ではその手間から算定しにくいと言えます。

通所系サービスの新加算を算定すべき理由

 通所系サービス限らず,在宅支援サービスはすべて,居宅介護サービス計画のマスタープランに対して個別のサービス計画を立てなければなりません。各通所系事業者は,居宅ケアマネジャーのモニタリングに対して説明できるように,個別のサービス計画についてモニタリングと評価を行っています。

 計画書は相談員や機能訓練指導員が作成しますが,これらの職種は直接サービスの提供や送迎も担当しているため,事務的な労力と新加算による増収を天秤にかける微妙な判断となります。

 しかし,新加算の算定は,通所事業にとって居宅介護サービス計画をより具現化するものであることは間違いありません。特に,「科学的介護推進加算」と通所介護の「個別機能訓練加算(Ⅱ)」ではLIFEへの情報提出の都度,評価を行う必要があることから,担当ケアマネジャーのモニタリングに資する情報,より具体的な在宅生活を支援する計画書となります。

 また,通所系事業は,そのサービス特性から他の在宅支援サービスと比較してアウトカム評価(支援効果)が高いサービスと言えますが,それを検証することは難しいものがありました。しかし,新加算ではPDCAサイクルによるマネジメントや各加算の評価,スクリーニングをLIFEへの情報提出の都度行うため,アウトカム評価が残ります。

 これらのことから,新加算を算定する仕組みを構築することは,通所系事業にとってサービスの質の評価につながると言えます。

通所介護・通所リハビリテーションの共通加算の解釈と留意点

 次に,通所介護・通所リハビリテーションの共通加算である「科学的介護推進加算」「栄養アセスメント加算」「口腔・栄養スクリーニング加算」「口腔機能向上加算」について,解釈と留意点を述べます。

科学的介護推進加算 40単位/月

【解釈】
 科学的介護推進加算を算定するためには,「科学的介護推進に関する評価」様式(資料1)により評価を行い,6カ月に1度LIFEへ情報を提出しなければなりません。また,居宅介護サービス計画に基づく個別サービス計画を立案し,LIFEからのフィードバックを基に計画の見直しを行うというPDCAサイクルのマネジメントを行う必要があります。

 なお,本加算は利用者全員に対し算定できることから,通所介護費算定基準により,定員を超過すると算定できません。

【留意事項】
 6カ月ごとに情報を提出する必要があると述べましたが,総論(既往歴,服薬情報,ADL,在宅復帰の有無),口腔・栄養,認知症に関する項目に変化があった場合は,その都度LIFEに情報を提出しなければなりません。

 また,6カ月ごとという提出間隔は最低必須の間隔であり,LIFEではPDCAサイクルによる自立支援のマネジメントを行うことを要件としています。個別サービス計画の実施状況の把握と評価はPDCAサイクルでのマネジメントを実施している根拠となりますので,短期目標と長期目標の期間終期には必ず評価しなければなりません。そして,目標が達成できない場合はその理由を明らかにして,担当ケアマネジャーと連携し,個別サービス計画の見直しを行うことが求められます。


栄養アセスメント加算 50単位/月

【解釈】
 栄養アセスメント加算を算定するためには,サービス開始時に「栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング」様式(資料2)により低栄養リスクのある利用者を把握し,3カ月ごとに栄養スクリーニングを行い,3カ月ごとにLIFEへ情報を提出する必要があります。

 栄養スクリーニングは,事業所所属の管理栄養士,もしくは外部の病院,施設,都道府県栄養士会が設置する「栄養ケアステーション」と連携することにより管理栄養士を1人以上配置して行います。外部の管理栄養士との連携は,特養・老健で栄養ケアマネジメント強化加算を算定している場合,基準を上回る配置をしている場合に可能となります。

 また,栄養スクリーニングを行った上で,関係職種により栄養上の課題を把握し,摂食・嚥下,食形態に配慮した食事サービスの提供を行わなければなりません。さらに,必要に応じて管理栄養士が本人,家族への説明,栄養相談,情報提供を行い,担当ケアマネジャーにも情報提供を行うことが求められます。

【留意事項】
 栄養アセスメント加算は,あくまで低栄養リスクをスクリーニングし関係職種と連携することを目的としているため,栄養改善加算を算定している間と終了する月は算定できません。新規利用者の栄養アセスメントを行った結果,低栄養リスクありとされた利用者に対して栄養改善サービスの提供を行った月は,栄養アセスメント加算と栄養改善加算の両方を算定できます。


口腔・栄養スクリーニング加算 (Ⅰ)20単位/回 6カ月に1回を限度とする
               (Ⅱ)5単位/回 6カ月に1回を限度とする
口腔機能向上加算 (Ⅱ)160単位/回 原則3月以内・月2回を限度とする

【解釈】
 在宅生活での自立を支援する上でアウトカム評価として効果が高いことから,心身機能だけでなく口腔・栄養機能に関してもケアマネジャーと連携し,より自立支援に資するケアマネジメントを行う目的で,口腔・栄養スクリーニング加算,口腔機能向上加算(Ⅱ)が新設されました。

 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)は,利用開始時と利用中の6カ月ごとに利用者の口腔の健康及び栄養状態について確認を行い,担当ケアマネジャーに情報を提供することにより算定できます。

 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)は,利用者が「栄養改善加算」もしくは「口腔機能改善加算」を算定している場合に,口腔の健康や栄養状態のいずれかの確認を行い,担当ケアマネジャーに情報を提供することで,6カ月に1度算定できます。

 口腔機能向上加算(Ⅱ)は,口腔機能向上加算(Ⅰ)の算定基準を満たした上で,LIFEへ口腔機能向上管理指導計画書を提出することにより,3カ月に限り月2回を限度として算定できます。

【留意事項】
 口腔・栄養スクリーニング加算を算定するためには,「口腔・栄養スクリーニング」様式(資料3)にてスクリーニングを行う必要があります。ただし,口腔機能向上加算もしくは栄養改善加算を算定している場合には,口腔もしくは栄養,どちらかのみのスクリーニングでよいことになっています。この場合は「口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)」を算定します。

 口腔機能向上加算(Ⅱ)を算定するためには,「口腔機能向上サービスに関する計画書」(資料4)を入力,作成し,算定を開始する月の翌月の10日までに1回提出する必要があります。


まとめと今後の課題

 通所介護・通所リハビリテーションに関する加算として,LIFEを活用する加算が比較的高い単位数で新設されました。通所系サービスでは,LIFEを活用する加算はすべてPDCAサイクルで自立支援型マネジメントを行う必要があり,ほぼ3カ月ごとの情報提出,利用者の状態に変化があった場合は都度の情報提出とアセスメント・スクリーニング,計画書の見直しを行わなくてはなりません。

 通所系事業では非常勤職員が多く,各職種がケアや機能訓練,送迎,サービス担当者会議への出席などを複合的に担当しています。そのため,算定要件を満たすために事務的作業が増え,単位数の低い加算については,算定を控える傾向にあることが課題です。

 厚生労働省は,すべての介護サービスにおいてLIFEを活用することが望ましいとしています。また,LIFEを活用することで,アウトカムとしてのサービス提供の成果が見える化され,サービスの標準化・改善につながります。

 2021年度は,LIFEの活用を進める事業所と見合わせる事業所の2極化が進み,収支に大きな差が出ると思われます。