| 超高齢社会を迎え地域包括ケアシステム時代に突入した昨今,自助・互助・公助・共助の普及が求められている。介護保険下のリハビリテーションでは高齢者の自立支援を通して自助・互助活動の獲得を図る必要があり,事業所の質を評価する社会参加支援加算などのアウトカム評価も導入されている。自立支援と社会参加の結果が求められる中で,短時間デイケアに何ができるのか,より明確な立ち位置を示し,要介護者の地域での生活をより充実させることが求められているのではないだろうか。
デイケアの機能と短時間サービスにおける利用者像
デイケアの機能は医学的管理,心身・生活活動の維持向上,社会活動の維持向上,レスパイトケアの4つがあり,利用機転は「退院直後」「風邪や転倒等による突発的な機能低下」「加齢や不活発な生活習慣による機能低下」が大半を占める。
短時間デイケアの利用者は長時間デイケアと比較して,心身・生活機能への関心が高く,比較的年齢が若く,介護度が低い者が主である。そのため,集団でのアクティビティや入浴,食事といったサービスを好まず,リハビリテーションのみを求める者が多い。利用効果を比較すると,長時間デイケアでは移乗やトイレ動作が改善しやすく,短時間デイケアでは歩行能力や階段昇降能力が改善しやすい。
このような背景を考慮すると,短時間デイケアでは,歩行や移動といった心身・生活活動の向上を図りつつ,社会活動を支援し活動的な生活習慣を確立させることで,利用者の自助活動を高めていくことが求められているのではないだろうか。
デイサービスと短時間デイケアにおける機能の違い
近年のデイサービスは,民間企業も参入し差別化のために多様化が進んでおり,利用者個々のニーズに合ったサービス選択が可能となってきている。デイサービスは,介護が必要な高齢者の生きがいを満たす社会参加の場であると同時に,レスパイトケアの役割を果たしており,地域包括ケアシステムにおいて重要な役割を担っている。
一方,デイケアではデイサービスと比較してさまざまな疾患からの日常生活自立度の改善が見られている。その要因は理学療法士などの配置数にあると言われており,1事業所当たりの配置数はデイケア2.8人程度,デイサービス0.2人程度となっている。専門職の配置数を確保したことで,デイケアでは各利用者のアセスメントを十分に行うことができ,利用者にとって効果的で効率的なサービス提供ができていると考えられる。
近年では,リハビリテーションの観点から居宅サービスを計画することが重要とされ,デイケアには他サービス事業所への指導や助言が求められている。2018年度介護報酬改定では生活機能向上連携加算が新設され,デイケアは地域におけるリハビリテーション拠点として期待されている。したがって,デイケアは利用者の心身機能の強化,自立支援を図ってニーズに合った社会参加の場(デイサービスを含む)に送り出す役割を担いつつ,近隣のデイサービスなどの利用者へ必要に応じて指導や助言を行い,場合によっては一時的に利用者を受け入れ,心身機能の強化・自立支援を図って再度デイサービスに送り出すといった役割も担っていく必要がある。そのため,地域のデイサービスや居宅介護支援事業所と横のつながりを持ちアンテナを張りながら,地域の要介護者が長く在宅でQOLの高い生活を送れるよう環境を整えていく必要があるのではないだろうか。
当事業所におけるサービス内容
事業所の概要
当事業所は,東京都足立区にある苑田会リハビリテーション病院に併設されたみなし事業所である。通常規模型で1回定員20人,1回90分の短時間デイケアを日に3回開催している。当事業所では利用者の目標達成による社会参加と自立支援を推奨しており,利用開始前に利用者や家族とケアマネジャー,セラピストと共に社会参加・自立支援に資する目標を設定している。
独自の取り組みとして,利用者同士の互助会運営やウォーキングイベントの開催,閲覧しやすい社会資源資料の作成,自立支援のための講座運営,E-SASを用いて評価を行いその結果を利用者と共有するなど,社会参加・自立支援を後押しする活動を行っている。2019年度からは,周辺事業所へのあいさつ回りやケアマネジャー向けの「短時間デイケアの使い方」勉強会を開催しており,デイサービス事業所との連携なども行っている。
利用者の状態像
2018年度の総利用件数は7,500件程度,新規利用者は80人弱,内訳は当院の回復期病棟退院者が5割程度,外部事業所からの依頼が5割程度であった。利用者は屋内移動やトイレ動作が自立している者で,「退院直後」「風邪や転倒などによる突発的な機能低下」「加齢や不活発な生活習慣による機能低下」などの原因で利用に至っている者が大半を占める。終了者は年間60人程度で,そのうち3割程度が目標を達成して終了している。
サービス内容(タイムスケジュールなど)
3力月に1度,セラピストが個別に40分程度の定期評価を行っており,その結果に基づいて利用者個々の運動・生活指導メニューを組む。通常は利用時間90分のうちセラピストの個別対応を10~15分程度行い,残りの時間はセラピストが個別に作成したメニューに沿って運動してもらっており,セラピストがラウンドしながら運動の方法などについて適宜指導を行っている。
当院ではリハビリテーションに依存しないよう自立支援指向の介入を導入しており,「できない部分のみ介助する」ことにしている。個別介入ではマッサージなどのリラクセーションは基本的に行わず,自主トレーニング方法の確認や生活状況の調査を主に行っている。運動メニューもできるだけ自身でできるものを選択するようにしており,最終的に自宅で実施可能になることを目標としている。
メリット・デメリットなど
認知・身体機能レベルが比較的高い利用者が多く,90分しっかりリハビリテーションをするプログラムのため,モチベーションが低い利用者も周りの利用者の様子を見て感化されることが多い。また,自主的な活動を促しているため,「してもらうリハビリテーション」から「するリハビリテーション」へ移行しやすく,心身両面の自立により社会参加がスムーズにいくケースが多い。一方で,依存度が高く「してもらうリハビリテーション」に慣れてしまっている利用者や過保護な家族,ケアマネジャーもおり,理解を得られず社会参加へ移行しにくい場合もある。
まとめと今後の課題
デイケアを利用する要介護者は2017年度時点で4.4%であり,効果や利用方法が理解されているとは言いづらい現状がある。短時間デイケアが今後,地域で選ばれるためには,利用者の自立支援・社会参加につながる質の高いリハビリテーションを提供すること,また地域の事業所に向けて事業所の特徴や使い方,効果などを知ってもらう取り組みを併行して進めていくことが重要だと考える。 |