【はじめに】
日本では6月~10月末までを出水期(しゅっすいき)といい、集中豪雨や台風などが多く洪水が起きやすい時期とされています。直近では2018年6月の西日本豪雨、2019年9月の台風15号や10月の台風19号が全国各地に大きな被害をもたらしました。
今回はこのような時期を迎える中で、改めて風水害への意識を高めていただくとともに、このタイミングで確認しておくべきルールや備えについてお伝えします。
1.風水害対策のゴールイメージ
組織で一つのことを進めるために必要なことは、"ゴールイメージ(目的と目標)"と"プロセス(タイムライン)の共有"です。災害対策でも同様ですが、風水害対策のゴールイメージ(目的と目標)は下記になります。※今回は事業継続ではなく命を守る防災についてお伝えします。
目的:風水害から利用者、職員の命を守る
目標:警戒レベル4の時点で安全な場所で待機している |
目的と目標はできるだけシンプルな方が良いです。しかし、施設の立地によってリスクが違ったり、職員同士の認識がずれていたりする場合もあるので、さらに具体的なゴールイメージを共有することが必要です。その第一歩として、まずは職員間で「風水害って何?」「施設で死ぬことがあるの?」「警戒レベル4って何?」「安全な場所ってどこ?」などについて話し合い、お互いの意見や認識を確認してみましょう。また、この時に施設のリスクを確認する必要がありますので、行政が発行している最新のハザードマップも用意しておきましょう。
表1に、情報共有や確認のポイントを示します。風水害や警戒レベルについて知らない職員や、「施設は絶対安全」と思っている職員がいる可能性もあることをふまえ、正しい知識を共有することが重要です。施設によって安全な場所が屋内か屋外かなども違いますので、しっかりと確認しながら進めましょう。

2.逆算から考えるタイムライン
ハザードマップを確認した結果、施設が土砂や浸水害のリスクがある場合は、目標達成に向けた具体策を整理します。この場合は、主に警戒レベルを軸に「いつ」「誰が」「何をする」をまとめていきますが、これがタイムラインとなります。(表2・表3)
※鉄筋コンクリートの3階建てで浸水が1m、施設の上階は安全という想定でタイムラインを
作成しています。
※平屋建てで1m浸水の施設の場合は屋外の安全な場所への避難が必要になりますので、
施設のリスクや建物の構造、高さに合わせて避難先の設定をしてください。


〈タイムライン作成のポイント〉
・情報収集と共有は必須
現在の警報や今後の雨量が増加するかなどの情報は、リスクの高まりを知るために必須になります。また収集した情報は必ず職員へ共有しましょう。
・シフトの調整
警戒レベル3の時点で避難開始となりますが、職員が少ないと対応が難しい場合があります。事前にシフトを調整してピーク時に人手を手厚くすることも重要です。
・避難準備
警戒レベル3になった時点ですぐに避難できるように、受け入れ先の整備や持ち出し品などを予め用意します。
・停電の備え
台風や大雨により停電になることもあります。停電に備え、照明や吸引機や在宅酸素など医療機器、エアーマットなどの福祉用具の対応も考えておきましょう。
・職員の出退勤停止
2019年に起きた台風19号では、避難途中で車内でなくなる「車中死」が多く発生しました。警戒レベル4以上のタイミングでの移動はリスクを伴う為、委託業務の職員含む施設職員の出退勤の時間を調整することも必要です。
※風水害対策ではこのタイムラインの精度が命となりますので、時間をかけて、見直しながら進めてください。また、弊社でもイラストで実施することが一目でわかるA1~2サイズのタイムラインを2020年7月中旬から販売予定です。ご興味のある方はお問合せ下さい。
株式会社CoAct https://coact1.jimdo.com/
3.FAQ
タイムラインの作成の段階でよくある質問とそれぞれの答えについてご紹介します。(表4)

【まとめ】
風水害対策について細かいことは色々ありますが、警戒レベル4の時点で安全な場所にいることができれば、高い確率で命を救うことができます。まずは目標の共有から始めることをお勧めします。また、その全ての過程にできるだけ多くの職員が関わることも、その後の周知の時間を短縮するためのポイントです。
実際に災害が起こった時に、「やっていて良かった」という施設が増えることを願っています。 |