災害対策


【第3回】 「南海トラフに関連する情報と対応について」

はじめに

 2018年の西日本豪雨や、2019年の台風15号・19号と風水害が続いていますが、変わらず地震のリスクも高まっています。特に、南海トラフ地震は30年以内の発生率が70~80%と非常に高く、予想されている被害も甚大です。そこで、今回は南海トラフについての臨時情報をお伝えします。

〈南海トラフの地震とは〉

 駿河湾から日向灘沖までのプレート境界(南海トラフ)では、過去に100~150年の間隔で大規模な地震が繰り返し発生しています。直近での発生は昭和東南海地震(1944年)および昭和南海地震(1946年)であり、それから70年以上が経過した現在、次の南海トラフ地震の発生率が高まってきています。(図1



〈南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ〉

 政府の中央防災会議では、科学的に想定された最大クラスの南海トラフ地震の被害想定を出しています。その被害想定によれば、南海トラフ巨大地震により静岡県から宮崎県にかけて震度6弱~7の強い揺れが発生し、関東地方から九州地方にかけて太平洋沿岸部の広い地域に10mを超える大津波が襲来すると予想されています。

 ちなみに、震度6弱~7の揺れでは、人は立っていることが困難になったり、動くこともできず、飛ばされたりすることもあります。また、屋内では固定していない家具の大半が倒れたり、家自体がゆがんでドアが開かなくなるなどの影響がでます。

 津波は2mを越えると木造家屋が全面破壊になるほどの被害となります。さらに、10mともなればその高さは3~4階建てに相当し、沿岸部の多くの家屋は全壊になる事が予想されます。

〈南海トラフ地震に関連する情報〉

 平成28年6月、政府は「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループ」を設置しました。このワーキンググループでは、南海トラフ地震の発生予測から被害の想定、それらをふまえた防災対応などの検討がされています。

 また、気象庁ではこのワーキンググループの検討結果をふまえ、南海トラフ全域において異常な現象を観測した場合や地震発生の可能性が相対的に高まっていると評価した場合などに「南海トラフ地震に関連する情報」の発表を行うこととし、これに伴い、東海地震のみに着目した従来の「東海地震に関連する情報」の発表は行わないとしました。

 南海トラフ地震に関連する情報の種類及び発表条件は表1になります。情報を発表する場合には「南海トラフ地震臨時情報(調査中)という具合にキーワード(表2)が付記されます。特に南海トラフ地震の影響を受ける地域の沿部に立地する施設は、津波からの避難に向けてこの情報のしっかりとキャッチして対応する必要があります。

 ただし、この情報は南海トラフ地震発生前に必ず出るわけではありません。地震が突発的に発生する可能性もあることを想定し、備えを進めることが重要です。


〈福祉施設の対応〉

 南海トラフ地震に関連する情報が発令された場合の対応は、各施設の立地などにより変わります。(表3)ハザードマップで施設周辺の立地リスクを確認しておきましょう。その際には、避難場所や避難経路、職員の通勤経路などにリスクはないか、広い範囲で確認する事が重要です。

 また、津波浸水域以外であっても、土砂災害や液状化のリスクが高く想定されている場合もあります。様々な想定のもとで事前に備える必要があるでしょう。そして、施設だけでは無く、職員の中にも沿岸部に自宅があり、事前の避難が必要な場合もあります。有事が予想される場合には、経営資源のうち最も重要な人的資源を守る配慮が求められます。


まとめ

 東日本大震災から9年を迎える2020年。人々の記憶も薄れ、当時生まれた子どもも9歳になるなど東日本大震災を知らない人も増えています。一方、南海トラフ地震を含む各地の地震は刻一刻と近づいてきています。日々の忙しい現場で災害対策を一気に進めることは難しいかも知れませんが、利用者さんや職員の命を守るため備えを進めて頂きたいと思います。

引用 南海トラフの地震活動長期評価(第二版)概要資料 平成26年4月 地震調査研究推進本部 事務局
   南海トラフ地震に関連する情報の種類及び発表条件 気象庁ホームページ「南海トラフ地震について」