1.2021年介護報酬改定がデイサービスに与える影響
2021年の介護報酬改定は0.7%のプラス改定となりました。原則として基本報酬が増えているのですが、業態によって振れ幅が大きく、その奥に国の思惑が透けて見える内容となっています。
これまで本連載内でもお伝えしてきたとおり、はっきり申し上げて国はデイサービスを縮小したいと考えています。2021年の介護報酬改定は、その傾向をより強く感じる内容となっています。
次回2024年の介護報酬改定でも、デイサービスに対する締め付けは更に厳しいものとなるのは間違いない状況です。今回はデイサービスでも特に重要な「個別機能訓練加算」と「入浴介助加算」を中心に、2021年の介護報酬改定内容とその対策を解説いたします。
2.大きく変更された個別機能訓練加算と入浴介助加算
1)個別機能訓練加算
第9回の連載記事内でも個別機能訓練加算に触れましたが、今回は解釈通知等により明らかになった部分を付加して解説いたします(資料1参照)。

個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)が従来のものと大きく変わったことは、これまでもお伝えした通りです。以下に、そのポイントをまとめます。
〈LIFEへのデータ提出〉
個別機能訓練加算(Ⅱ)に関してはLIFEへのデータ提出が求められており、その頻度は『3カ月に1回』となっています。
〈人員配置要件〉
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの人員配置要件は、個別機能訓練加算(Ⅰ)イの人員配置要件に加えて、「サービス提供時間中に専従1名以上」が必要となります。機能訓練指導員兼務の看護師とPT・OT・柔道整復師など常勤専従の機能訓練指導員を配置することで、個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの算定が可能になるということです。
〈5名以下の小集団〉
個別機能訓練加算の算定において最大の変更点は、全ての訓練を『5名以下の小集団』で実施するという点にあります。早期に算定するためにも、この部分に対応できるようオペレーションを整えておく必要はあるでしょう。
具体的には、次のような方法が考えられます。
①提供する機能訓練プログラムを利用者の能力別にある程度固定
②対象毎のグルーピングを実施
そのうえで、必ずしも全てのグループが5名になるとは限りませんので、曜日毎に実態に即したサービスが提供できるよう、オペレーションを今のうちから組み立てておきましょう(資料2参照)。

2)入浴介助加算
入浴介助加算は上位区分が設定され、従来の入浴介助加算は入浴介助加算(Ⅰ)となり10単位減算されています(資料3参照)。

上位区分の入浴介助加算(Ⅱ)に関して、解釈通知により算定要件が明らかになってきました。以下に、そのポイントをまとめます。
〈訪問者の要件〉
本加算は自宅への訪問・評価が要件となっています。訪問者の要件は解釈通知内にて「利用者の動作及び浴室の環境の評価を行うことができる福祉用具専門相談員、機能訓練指導員を含む」とされました。
これは各デイサービス事業者にとって朗報と言えるでしょう。加えて「個別機能訓練加算を取得するにあたっての訪問等を含む」とされましたので、個別機能加算算定に必要は3か月毎の自宅訪問を機能訓練指導員が実施することで、入浴介助加算(Ⅱ)の訪問要件と兼ねることが可能となります。
また、福祉用具専門相談員が含まれたことも大きいでしょう。機能訓練指導員の訪問が難しい場合、その利用者が福祉用具貸与サービスを利用している場合、福祉用具専門相談員が訪問することで、入浴介助加算(Ⅱ)の算定が可能となります。
詳細はQ&A待ち(2021年3月25日現在)ですが、福祉用具貸与事業所との連携も重要な意味を持つことになりそうです。最も、訪問するだけではなく【個別の入浴計画】の作成は必要となりますので、そこはご注意ください。
〈算定の考え方〉
入浴介助加算算定の考え方ですが、デイサービス施設では入浴介助の負荷が非常に大きく、多くの介助スタッフが必要なケースが多々あることを加味する必要があります。
場合によっては、入浴介助対象者を減らして、介助スタッフ数を減らした方が利益率は上がる可能性があるケースもあります(資料4参照)。

ターゲットとする利用者層を加味しながら、入浴介助加算(Ⅱ)の算定と併せて総合的に検討しましょう。
特に軽度者をターゲットとしているデイサービス事業所では、1日の入浴者数を制限しないと科学的介護推進体制加算や個別機能訓練加算算定に支障をきたすだけではなく、ADLの維持・改善など『具体的な成果』を出しづらくなってしまいます。
デイサービスだけではなく介護保険事業者に求められているものは「要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するサービス」です。2021年介護報酬改定を機にデイサービス事業所は、入浴介助の在り方を検討しなければならない状況になったと言えるでしょう。
3.まとめ
科学的介護推進体制加算がデイサービスにも新設されたことは、前回紹介しました。この詳細は前回の記事をご参照いただき、それ以外にもデイサービスでLIFEに紐づいた加算が新設されたことを確認しておきましょう(資料5参照)。

これら加算の算定も重要ですが、デイサービス加算の本丸は、今回取り上げた個別機能訓練加算と入浴介助加算です。
次回の2024年の介護報酬改定では、要介護1・2の利用者は総合事業へ移行し、利用者の自己負担割合も1割から2割に引き上げられることが予想されます。そして、科学的介護も更に拡充されていき、具体的な成果をより求められることになるでしょう。
科学的介護はある意味『施設の介護スキル(質)の見える化』でもあります。ここはまた今後の連載で触れていくとして、デイサービス事業者の多くが難しい舵取りを強いられていくことは間違いないでしょう。
こうした変化に対応していくためにも、まずは個別機能加算の算定率を上げ、入浴介助加算の算定を通じて、「入浴介助の在り方」を併せて考えていくことが重要なのです。 |