介護保険制度/介護報酬


【第12回】 「見えてきた2021年介護報酬改定の実務」

1.2021年介護報酬改定もついに実務フェイズへ

 令和3年3月16日付で2021年介護報酬改定の解釈通知が発表されました。今後、この解釈通知に関しての疑義に応える形でQ&Aを公表した後に、いよいよ4月より介護報酬が改定されることとなります。

 令和3年度介護報酬改定について
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00034.html

 解釈通知だけではなく、厚労省からの通知がまとめて一気に多数発表されており、介護現場はかなり混乱しているようです。先日開催した報酬改定開設セミナーのご参加者様からも、「厚労省からの情報が多すぎてついていけない」といった声が数多く聞かれました。

 今回はそんな声にお応えする観点で、解釈通知を中心に、現在発表されている情報の中でも特に重要な内容に絞ってお伝えしてまいります。

2.解釈通知やその他厚労省通知

1)リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実務・様式例の提示

 各種加算を算定するためには、それぞれの計画書が必要です。こういった計画書を別個に作成することにより現場の業務負荷が増してしまうため、結果的に加算の算定が進まないという悪循環を生み出していました。

 こうした課題を解決すべく、厚労省より統一様式が示されました(資料1参照)。


 今回の報酬改定では、リハビリ・個別機能訓練・栄養・口腔管理の4点に紐づいた加算が拡充されています。

 これは、リハビリ後にしっかり栄養を摂ることで筋力が向上するなど、この4点は相互に影響しあっており、相互の作用をより効果的に発揮するためにも『一体的』に実施されることが望ましいとされたわけです。

 膨大な書類作成に忙殺されている介護事業者にとって、これはかなり朗報と言えるのではないでしょうか。

 最も今回の介護報酬改定では、科学的介護の実践やその他運営基準改定に伴い、現場の業務負荷は間違いなく増すことが予想されます。そういった意味では、このような『書類の簡略化』も徹底的に取り組んでいかないと、科学的介護の実践に費やせる時間の捻出が難しくなってしまうと考えられます。

 関連する加算を算定予定の方はこういった統一フォーマットを活用していきましょう。

2)科学的介護推進体制加算算定の詳細

 2021年介護報酬改定で最大の目玉とも言える科学的介護推進体制加算について、算定の要件等が明らかになってきました。

 本連載内でもお伝えしてきた通り、この加算は今後確実に拡充されていきます。2021年介護報酬改定でADL維持等加算の単価は10倍に跳ね上がりましたが、同じように科学的介護に関する加算単価もどんどん上がっていくでしょう。

 今回は「LIFEへのデータ提出」と「フィードバックの活用」のみで算定可能となっていますが、今後はフィードバックを活用し、サービス提供をした結果(成果)が求められていきます。

 つまりは、今後拡充された際には、利用者のADL改善等具体的な成果が求められていくのは必至なのです。そこに加算が紐づいてくるということになりますので、成果の出せない事業所は算定ができなくなり、経営が厳しくなっていく可能性が非常に高くなるでしょう。

 今回はLIFE活用の『練習』という側面が強い科学的介護推進体制加算ですが、2024年介護報酬改定までには算定していることが重要なのです。こういった前提で算定の要件等詳細を見ていきましょう。

〈LIFEへの情報提供の頻度とタイミング〉

 ・サービスを提供した月の翌月10日までに初回情報を提供
 ・(算定後)6カ月毎にLIFEへ情報提供
 ・サービス利用を終了する利用者は最終サービス利用月の翌月10日までに情報提供

 科学的介護推進体制加算に限らず、LIFEへのデータ提出が必要な加算の提出期限は翌月10日です。初回以降は6カ月毎に情報提供が必要となっています。

 また、通信環境の整備やシステムの導入が必要となるなど、すぐに算定できないケースがあるので、一定の猶予期間が設けられています。

猶予条件と期間
 ・猶予を必要とする理由とデータ提出予定時期を盛り込んだ計画を策定
  ※届け出は不要
 ・令和3年4月から9月末までに算定を開始する場合は、算定開始の月より5カ月後の翌月10日までに
  データ提出
 ・令和3年10月から令和4年2月末までに算定を開始する場合は、令和4年4月10日までにデータ提出

 こちらを上手く活用すれば、4月からの算定も無理なく実施できるはずです。上手く活用し、早めの算定を目指しましょう。

〈提出する情報の詳細〉

 科学的介護推進体制加算算定のためには、指定様式の必須項目を提出する必要があります。

 今回は施設サービスの様式を示します(資料2参照)。通所サービスはまた別で様式がありますので、別途ご確認ください。

科学的介護推進体制加算(Ⅰ)必須項目
 ・評価日
 ・前回評価
 ・障害高齢者の日常生活自立度及び認知症高齢者の日常生活自立度
 ・総論(ADL及び在宅復帰の有無に限る)
 ・口腔・栄養及び認知症(必須項目に限る)
科学的介護推進体制加算(Ⅱ)必須項目
 ・※(Ⅰ)の全項目に加えて
 ・総論(既往歴)
 ・総論(服薬情報)
 ・総論(同居家族等)


 科学的介護推進体制加算(Ⅱ)は単価が高い分当然提出する情報量も多くなっていますが、それほど取得が難しい情報ではありません。施設サービスではこちらの算定を目指すことをお勧めいたします。

3.まとめ

 これまで何度もお伝えさせていただいたとおり、科学的介護推進体制加算は非常に重要な加算です。猶予期間も活用しつつ、令和3年4月からの算定を目指していきましょう。

 今回膨大な量の解釈通知が出ておりますので、次回以降も最新情報をお届けしてまいります。