1.運営基準改正による影響
2021年の介護報酬改定では、ほとんどのサービスで基本報酬が引き上げられました。しかし、それは「運営基準改正に伴う業務負荷増」の対価としての意味合いが強いことは、本連載内で繰り返しお伝えしてきました。
「基本報酬単価が上がった!」と素直に喜べない根拠はここにあります。今回は、主だった運営基準改正を中心に、その内容を確認していきましょう。
2.主だった改正内容
運営基準改正の主な内容は、資料1のとおりです。この中で、特に影響が大きいものを見ていきましょう。

「③LIFEの活用」
中でも最も影響が大きいと考えられるものは、③にあるLIFEの活用でしょう。今回の介護報酬改定は"科学的介護元年改定"と言えるものであり、全サービスに対してLIFEによる情報の収集・活用とPDCAサイクルの推進が求められることになりました。
特に「CHASE」の項目を見てみると、かなり細かく分類されていることがわかります(資料2)。

これだけ多くの項目についてデータを収集・提出し、フィードバック情報を活用することになると、その業務量は並大抵なものではないことが容易に想像できます。
システムとの連動も、使用しているシステムによって、その内容が異なってくる可能性も考えられます。まずは、求められている各データの収集方法を今のうちから具体的に決めておきましょう。
特に認知症に関する加算算定を予定している事業所は、今のうちにDBD13とVitarity Indexの使用に慣れておかないと4月からの算定は難しくなってしまう可能性があるので注意が必要です。
「⑤認知症介護基礎研修受講の義務化」
これまで、ほとんどの介護サービスは無資格者でも従事できました。しかし、今回の介護報酬改定により、無資格者に対して認知症介護基礎研修受講が義務付けられました。
この研修は、現状6時間の座学で習得できるものとなっています。今後eラーニング化など受講のハードルは下げられていくものの、無資格者は受講が必須となっていきます。つまりは「無資格では介護の仕事ができない」時代に突入することとなったのです。
3年の経過措置はとられますが、その間に法人として具体的な受講スケジュールや受講に関する費用負担の是非、新入スタッフへの受講の勧め方などを詰めていく必要があります。尚、この4月以降に採用する新人スタッフの受講については猶予期間が1年となっていますので、注意が必要です。
元々人材難に喘ぐ介護業界です。採用の側面では逆風ともなりかねないこの改定への対応は、法人の採用訴求力にも大きく影響してくる可能性があります。
また国としては、認知症介護基礎研修の上位資格取得者数も増やしていきたいと考えています(資料3)。

国の思惑を織り込みながら、法人内で資格取得者を増やしていくことも同時に求められているのです。
「⑨⑩サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などへの規制・指導強化」
これらは業務負荷の観点ではありませんが、サ高住など集住している施設への締め付け強化策です。今後この方向性が強化されていくことは間違いありませんので、該当施設は施設入居者へのサービス提供だけではなく、近隣住民へのサービス提供を実施できる体制を構築していく必要があります。
3.まとめ
今回は運営基準改正を中心みていきましたが、業務負荷が増すイメージを膨らませる材料としては十分すぎると感じます。その一方で、今回は触れませんでしたが、記録保存が紙媒体ではなくデータ保存でもOKとなったり、テレビ電話等の活用も促進されていたりと、業務負荷軽減策も講じられてはいます。
しかしながら、相対的にみてほぼ間違いなく業務負荷は増すでしょう。こういった運営基準改正に対しての備えとして、ICT化やDX化を推し進めていくことは必須です。今から対応できるよう準備を進めていきましょう。
本連載でも順次触れていきますが、これから出てくる解釈通知やQ&Aなどに目を通すことはもちろん重要ですので、こちらも読み込んでいきましょう。
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