1.2021年介護報酬改定がデイサービスに与える影響
2021年の介護報酬改定が全体で0.7%のプラス改定となったことは、本連載でもお伝えしてきました。今回は、デイサービスの加算を中心に解説していきます。
デイサービスの基本報酬引き上げについては、筆者の周りでも安堵の声が多く聞かれています。基本報酬が上がったことは確かに喜ばしいことです。しかしながら、感染症や災害に対して、業務継続計画(BCP)の作成と研修や訓練の実施が全サービスに義務付けられました。このように運営基準が改定され、全事業所の業務負担が増すことを見越して、基本報酬は引き上げられていると考えるべきです。
加えて、科学的介護が本格導入されることとなりました。デイサービスの加算もほとんどがLIFEへのデータ提出を求められるものとなっています。これらの加算を算定する際の業務負担も大きいものになるでしょう。
「それなら、加算を算定しなければいいじゃないか?」という声も聞こえてきそうですが、加算算定を強化しないと事業運営は確実に厳しくなるでしょう。その理由は、「今後、介護報酬が上がることは考えづらい」という点にあります。
今回は基本報酬が上がりましたが、これは上述の通り業務負担が増えることを見越したものとなっています。中長期的に見ると、「基本報酬を減算し、加算報酬単価を上げていく」手法をとっていくことが予想されます。そして、「加算の算定率が上がってくると基本報酬に組み込んでいく」というのが、これまでの国の常套手段です。
つまり加算算定のできない事業所は、確実に減算されていくのです。加算は国が各サービスに求める"機能"示しています。即ち、「加算算定=制度の流れに乗っている(時流に乗っている)」とも言えるため、新設の加算も確実に算定していくことが非常に重要なのです。
2.デイサービスに求められる"機能"
デイサービスは"レスパイト"サービスであるという認識が強いと思います。それ自体は間違ってはいません。同居家族などが一時休息する時間を作るためのサービスという側面があることは周知のことでしょう。
しかし、国が求めているレスパイトと各施設が認識しているレスパイトの解釈には、大きな乖離があることを認識しておく必要があります。
わかりやすく説明すると、国は「(在宅での)生活機能向上に資するサービスを提供することで初めてレスパイトと言える」と考えているのです(資料1参照)。これは、所謂『お預かりサービス』だけではレスパイトとは言えないことを明示しています。

また、介護保険サービスとは『要介護状態の悪化防止に資するもの』ということが協調されています(資料2参照)。もちろんデイサービスも例外ではなく、『利用者が在宅生活を継続するためのサービスと成果』を求められているといえるでしょう。

3.デイサービスで新設・拡充された加算
ここからは、今回新設・拡充された加算についてみていきましょう。中でも、本連載の第8回で解説した「科学的介護推進体制加算」は、デイサービスでも非常に重要です。確実に算定していきましょう。
また、個別機能訓練加算と入浴介助加算の見直しについては、多くのデイサービスで影響を受けることが容易に想像できます。詳しく確認していきましょう。
〇個別機能訓練加算
個別機能訓練加算は、これまでの(Ⅰ)と(Ⅱ)が統合され、機能訓練指導員の配置状況によって算定できる単位に差がつけられました。

新設された個別機能訓練加算(Ⅱ)は、個別機能訓練計画の内容などのデータをLIFEへ提出し、そのフィードバックを活用することによって算定できる建付けに大きく変更されました。従来の個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)をダブル算定していた事業所は減算となることがわかります。
さらに、デイサービス事業所にとって最も辛い条件となるのが、「機能訓練指導員が直接5名以下の利用者を対象に実施すること」が要件に付け加えられたことでしょう。
これまでの個別機能訓練加算(Ⅰ)は、体制加算(厳密には違うのですが)に近い内容となっており、機能訓練指導員が直接実施しなくても算定可能、尚且つ機能訓練の対象人数も制限がありませんでした。ここが5名以下と制限された結果、多くのデイサービスでは機能訓練プログラムの変更など、オペレーションの大幅改訂を余儀なくされることとなります。
4月からの算定を予定している事業所は、今のうちからプログラムと利用者のグルーピング(5名以下)などを進めていきましょう。
〇入浴介助加算
今回の介護報酬改定にて、従来の入浴介助加算が入浴介助加算(Ⅰ)となり、その上段の加算となる入浴介助加算(Ⅱ)が新設されました。

入浴介助加算(Ⅰ)の単価は10単位減算となっているので、入浴介助加算(Ⅱ)の算定を目指さない場合、多くのデイサービスで減算となってしまいます。
さらに、入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件は、簡単に説明すると、「利用者宅を訪問し浴室環境を確認したうえで、個別入浴計画を作成し、個別に入浴を実施する」というものです。個人浴槽が無いデイサービスでは、そもそも算定自体が難しい可能性があります。

本加算は『入浴リハビリ』としての側面が強い加算ですので、まずは入浴している利用者のリストを作成し、能力向上を見込める方のピックアップをしていきましょう。
"入浴卒業者"の排出というのが一つの目標になるでしょうし、スタッフのモチベーションアップや介助量軽減にも繋がる加算ですので、対象者を選別したうえで算定していくことをお勧めいたします。
4.まとめ
今回の改定は、『自宅』での能力を維持・向上させることが、国がデイサービスに求めるサービスであることを鮮明に打ち出した内容となったと言えるでしょう。
また国は、「デイサービスが増えすぎた」と考えています。あの手この手でデイサービスへの締め付けは強まるばかりです。
科学的介護の実践に慣れることと、利用者への機能訓練などで具体的な成果を出すことが、"生き残るデイサービス"の特長になるのではないでしょうか。こういった時流に乗っていくためにも、利用者が自宅では自分でやっていることは、デイサービス内でも自分やってもらうという観点が必要でしょう。
例えば、配茶やバイタル測定など、利用者自身が自宅で実施しているケースは多々あると思います。そういったものを利用者自身にやっていただくことでも、能力の維持・向上につながるはずです。
『自立支援』という観点で利用者自身ができることは、トコトンやっていただくことも重要でしょう。そのためも、利用者自身に介護保険での"サービス"とはなにか?をお伝えしていくことからはじめていきましょう。 |