1.令和3年介護報酬改定の骨格
令和2年12月9日の介護給付費分科会にて、報酬改定の骨格が見えてきました。

プラス改定となるか、マイナス改定となるか最終的な単価は来年に公表される予定です。その前段階として、今年のクリスマス前後には、令和3年度報酬改定の骨子が公表されると考えられます。
前回は「5つの柱」それぞれを包括的にご説明しましたので、今回は最も力が入っていると思われる【自立支援・重度化防止の取り組みの推進】に焦点を当てて、解説してまいります。
2.令和3年報酬改定の本丸は【科学的介護の本格導入】
令和3年介護報酬改定は科学的介護の本格導入元年ともいえるものとなりそうです。

この資料にある項目は全て大切ですが、特に重要なものをピックアップし解説していきましょう。
(1)リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取り組みの連携・強化
通所リハビリテーションのリハビリテーションマネジメント加算が基本報酬に組み込まれ、リハビリ強化を更に求められる内容となっています。ここから、通所リハビリテーションと通所介護の棲み分けを鮮明にする意図が透けて見えます。
本項目で最も影響を受けるのは、間違いなく通所介護です。主な見直し案として、①個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱの統合、②入浴介助加算の上位区分新設をあげていますが、この2点の改定が通所介護に与える影響は非常に大きいと言えます。
①個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱの統合

特に影響が大きいと考えられる項目は、"訓練の対象者が5人以下"と設定されているところです。
これは、現状の個別機能訓練加算Ⅱの算定要件にもあるため、これまで個別機能訓練加算Ⅱの算定率が高い施設ではそれほど影響がないと考えられます。しかし、算定率が低い施設では、新たに5人単位の機能訓練プログラムを設定したり、オペレーションを見直したりしなければならないので、今のうちから準備を進めて上位区分の算定ができるよう備える必要があります。
もし、上位区分の算定ができないならば、減算になると考えておいた方が良いでしょう。
②入浴介助加算の上位区分新設

有名無実な加算であった入浴介助加算にメスが入る形になりました。これまでは実質的に入浴介助実施の是非に関わらず算定できていましたが、資料4に示されているように、"専門職が利用者宅を訪問して個別入浴計画を作成し、個別に入浴介助を実施すること"を要件とした上位区分の新設が検討されています。
つまりは、機能訓練の一環として入浴介助が求められることになります。現行の入浴介助加算も維持されますが、上位加算へ誘導するため現行の加算単価が減算されるのは、ほぼ間違いないと考えられます。
なお、11月16日に示された資料4では、利用者宅へ訪問する専門職を医師・理学療法士・作業療法士に限定していますが、12月9日の審議会資料には「医師・理学療法士・作業療法士・介護支援専門員等」と緩和する表現で記載されています。

この新設される上位加算の算定は、デイサービスにとって死活問題となる可能性を秘めていると言えます。
(2)介護サービスの質の評価と科学的介護の取り組みの推進
本連載の第4回でもお伝えしましたが、最も大きい改定となるのがこの項目でしょう。ほぼすべての介護サービスにVISITやCHASEによるPDCAサイクルが推進されることとなります。


資料7のとおり、CHASEへデータを提出し、フィードバックを受け、ケア内容を改定し、実施するというPDCAサイクルの推進が求められ、そこに紐づけた加算が新設されることになりそうです。この加算算定こそが令和3年介護報酬改定の本丸であり、科学的介護元年ともいえる内容なのです。
この加算を算定ができない事業所の運営は、確実に厳しくなるでしょう。CHASEに含まれる項目を踏まえて、今のうちから利用者の再アセスメントし準備を進めておきましょう。
(3)寝たきり防止等、重度化防止の取組の推進
施設サービスの褥瘡マネジメント加算、排せつ支援加算について、アウトカム評価が導入されることとなります。これまで通所系サービスに限定されていたアウトカム評価が、ついに施設系サービスにも導入されるということです。
ADL維持等加算も同様に導入されるので、特養などでは看取り介護の促進と同時に、中重度者へのリハビリ強化を求められていくことになります。
3.まとめ
当初は「あまり大きな改定にはならないのではないか」という見方も強かった令和3年介護報酬改定ですが、かなりドラスティックな内容となりそうです。特に、科学的介護の本丸とされる"CHASE"や"VISIT"とはどのようなものであるのか、今のうちから把握しておくことを強くお勧めします。
本連載内でも触れてきましたが、今回の改定は包括報酬サービスを促進する意図も感じる内容となっています。このあたりも十分注視していきましょう。
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