新人指導


【第2回】 「今すぐできる靴のサイズチェックと履かせ方」

〈日本人はゆるい靴が好き〉

 前回は靴のサイズの見方についてお話ししました。実際に測ってみると、「思っていたサイズと違っていた」という人も多いのではないでしょうか。

 日本人は玄関で靴を脱ぐ生活様式のため、「靴の脱ぎ履きが楽」であることを重要視する傾向があります。「脱ぎやすいサイズ」となれば、大きく、ゆるい靴ですよね。また、せっかく靴ひもがついているのに、わざとゆるくして、「買ってから一度も締めたことがない」という方がたくさんいます。ゆるい靴に慣れ過ぎてしまい、ゆったりとした靴を「履きやすい靴」と思い込んでしまっているのが、日本人の大半ではないかと思います。

 これは高齢者もしかりです。介護従事者である皆様には、「緩い靴=履きやすい靴」という考えは捨て去っていただきたいのですが、高齢者の場合はそこが一筋縄ではいかないと思います。今回はそのあたりにも触れながら、利用者の靴サイズの見方、履かせ方をみていきましょう。

〈高齢者の足〉

 利用者の靴のサイズを見る前に、高齢者の足の特徴に触れておきたいと思います。

 まずは、ご自分の足を触ってみてください。足の裏はお肉がプクプク、かかとは特に柔らかいはずです。そのまま足の裏の中心あたりのくぼみを押してみてください。足の指がグーっと起き上がっていくはずです。

 次に足の甲の方から、足をわしづかみにしてぎゅっと足を絞ってみてください。足の幅が狭くなりませんか?現役世代であれば、足裏の脂肪層は厚く、関節はまだ柔軟で筋肉も機能しているはずです。

 では、利用者の足を触ってみてください。もちろん優しくですよ。足の裏の脂肪層は薄くなり、関節も動きにくく、ぎゅっと絞っても皆さんの足ほど足の形状が変わらないのではないかと思います。

 また、皮膚も薄くなってしまうため、ちょっとしたことで赤くなってしまう方も多いはず。高齢者の靴を選ぶ場合、このような足の特徴を考慮して選ぶことも大切になってきます。

〈靴と足のマッチングをみる〉

 では、さっそく利用者の靴のサイズが合っているかを見てみたいと思います。前回は足のサイズを測り、目安となるサイズを確認しました。しかし、これはあくまでも目安であり、実際に履いて合わせてみるということが必要になります。もし靴店に行って買えない場合は、なるべく福祉用具業者などにお願いして、目安サイズ周辺の靴のサンプルを持ってきてもらうとよいでしょう。

 そして、実際に履いてもらい、マッチングを見ていきます。自分以外の人のサイズをチェックするのは難しいものですが、簡単にチェックできる方法をお教えしますね。


足と靴のマッチング簡単チェック

1.靴の中の中敷きが抜ける場合(写真1)

 靴の中から中敷きを抜きます。そして、座ったままで構いませんので、中敷きの上にかかとを合わせて足を乗せてみましょう。この時、「つま先の前に1~1.5㎝ほど余裕があり、足全体がインソールからはみ出ない」のが理想です。

 しかし、高齢女性に多い「外反母趾」の場合、親指の付け根がはみ出してしまうことがあります。もし極端にはみ出している場合は、皮膚が赤くなっていないか確認しましょう。

 赤くなってしまっている場合は、もう少し幅の大きい靴、もしくは長さのサイズを上げて、足がなるべくはみ出さないサイズを選ぶと良いでしょう。ただし、靴自体がゆるくなってしまう可能性があるので、しっかり靴を履いてもらうことが必要になります。


2.靴の中敷きが抜けない場合(写真2)

 中敷きが抜けない靴は、靴の中に足を入れた状態で、足を靴の前方にグッとずらしてみてください。この時、踵側に指一本分くらいすきまが空けば、適当なサイズを履いていると考えられます。

 しかし、中敷きの時のように足のはみ出しはわかりませんので、靴の上から触ってみましょう。かかと側に足を合わせた状態で、指先の位置、親指、小指付近の当たり具合などをチェックします。靴が変形しているようであれば、必ずその部分の皮膚状態を確認してください。


〈足の格好に合った靴を〉

  靴と足のマッチングはいかがしたでしょうか?最初にも述べましたが、高齢者の足は若い人のように柔軟ではありません。その上、皮膚が薄くなっているため、靴の内部に足が当たることで傷を作ってしまう可能性もあります。そのため、高齢者用として販売されている靴の多くが丸くコロンとした作りになっています。

 上履きというと、バレーシューズを購入されている方も多いのですが、高齢者の足の特徴を考慮すると、あまりお勧めはできません。

〈今の靴をしっかり履いてもらう〉

 さて、利用者の靴のサイズはいかがでしたか?もし、極端に合っていない場合は買い変えてもらいたいところなのですが、まずは今の靴を安全に履くことが大切です。

 利用者の自立度により、自分で履ける方と介助が必要な方がいるかと思います。転倒予防のためにも、介助の有無にかかわらずきちんと履けているかのチェックだけはしていただきたいと思います。

 自分で靴が履けることも自立の1つだとは思うのですが、自分で履けることにだけ目が行き、「転ばない履き方ができているか」という視点が欠けていることがほとんどです。合っていない靴は転倒の原因となることを念頭におき、利用者の靴の履き方をチェックしてほしいものです。

 「靴を履ける自立よりも、転倒を予防し自立した生活を1日でも長くできること」の方が重要と考えます。

【靴の履かせ方】(写真3)

 靴を足入れのしやすい状態にして、足を入れます。その状態でかかとを床に斜めにトントンと軽く打ち付け、かかとを靴の後方に落ち着かせます。

 つま先を上げたまま、マジックテープや靴紐で足と靴をフィットさせましょう。留め具のないスリッポンタイプであれば、かかとトントンを時々してあげると良いでしょう。

 次回は足の特徴を考慮しながら靴選びの注意点をもう少し詳しく解説します。