介護スキル


【第4回】 「爪のお手入れの仕方 ~基本編」

 前回は、「触れてみるポイント」をお伝えしました。利用者の足の状態をしっかりと把握することが介助、またはケアをする上で重要なポイントとなってきますので、しっかりとチェックして頂きたいと思います。

 今回は、「爪のお手入れ」についてお伝えします。まずは基礎知識として、「爪の役割や構造」を理解して頂きたいと思います。

〈何のために爪はある?〉

 爪は、意味もなく指先にあるわけではなく、かといってお洒落のためにあるわけでもありません。
では、何のために爪はあるのでしょうか?

【爪の役割】

①指先を守る
②指の力を増加させる(物を掴む、踏ん張る等)
③知覚を増加させる

 以上の3つが、爪の役割と言われています。

 爪は皮膚の付属器官として、手と足のそれぞれの指先を保護しています。爪がない状態、あるいは機能しない状態では、指先を守るものがないため、指の力や知覚が衰えます。つまり、爪を疎かにすると手足の機能が失われ、もしそれが足であれば、「歩行障害や転倒の原因」にもなり得るのです。

 また、指の骨は爪の中央の途中までしかありません。骨のない部分では、すべて爪が力を支えているため、手の指に爪がないと小さなものをつかむこともできなくなります。爪の長さが短すぎても、爪の厚みが薄すぎても同じことが起きます。

 さらに、足の爪は、安定して体を支えたり、歩いたりする時に爪先に力を入れる働きを担っています。
このように、爪は手と足の機能に欠かすことのできない大切な部分なのです。


【爪の構造】

 爪は1枚のように見えて、実は3層でできています。

 表面から、背爪(トッププレート)、中爪(ミドルプレート)、腹爪(アンダープレート)と呼ばれます。

 また、背爪、腹爪は薄いケラチンで縦方向に連なっていますが、中爪は厚いケラチンが横方向に連なっています。つまり、この3層の構造により、爪は固いだけでなく、柔軟性も兼ね備えています。

〈基本的な爪切りの仕方〉

 ここまでの解説で、「足の爪は利用者のADL改善に欠かせない」「疎かにすると歩行障害や転倒につながる」ことが理解いただけたかと思います。

 では次に、基本的な爪切りの仕方を説明していきたいと思います。
まずは「適切な長さ」と「正しい切り方」をしっかりと覚えましょう。

【適切な長さ】

 爪の長さは、一般的には「指先と同じ長さ」と言われていますが、高齢者、特に自分で爪切りが困難な方には、「指先より1ミリ程短く」をおすすめします。

 爪の伸びるスピードは、個人差もありますが、1カ月に1ミリ前後伸びます。このため、自分でケアできない方の爪を指先と同じ長さに切ってしまうと、伸びてきたときに引っかけてしまう恐れがあります。

 伸びすぎを防ぐため、最低でも1カ月に1回は爪切りを行うと良いかと思います。

 なお、自分でお手入れすることができる方は指先と同じ長さでも問題ありません。

【爪を切る準備】

 とても重要なのが、爪を切る前に、「爪と皮膚を分ける」ということです。

 現場での爪切り事故の原因には、「爪なのか角質なのかわからないまま切ってしまった」というケースが多く見られます。

 爪と皮膚を分けることによって、爪を切る際、皮膚を傷つけることなく安全に行うことができます。

 爪の先端や周囲にある角質を除去しながら、爪と皮膚をしっかり分けていきましょう。

【チェックポイント】

 爪の横の溝や伸びた爪の裏側などに角質が溜まり、皮膚を圧迫していることがあります。痛みの原因や白癬菌の温床になったりするので、しっかり取り除きましょう。

 また、皮膚に傷がないか、炎症を起こして赤くなっていないか、平常の色と異なっていないかなどを確認します。この時、専用の器具(ゾンデ)を使用することをお勧めしますが、なければ、薄めの耳かきや綿棒の耳かき状になっているものを使用しても問題ありません。

【角質の除去方法】

 まずは、ケアする足趾をしっかりと持って固定します。

 そして、鉛筆を持つようにゾンデを持ち、軽くなぞるように角質を除去していきます。

 あまり強くなぞってしまうと皮膚にゾンデが食い込み、痛みが出てしまう可能性があるので軽くゆっくりとなぞっていきましょう。

 ゾンデの先に角質がついてきますので、片手でコットンなどを持ち、角質を拭き取りながら行いましょう。


【爪切りの方法と手順】

①まずは長さを整える。

 爪のカーブに合わせ、どちらからでもよいが一方方向に少しずつ、爪の根元と平行にまっすぐ切っていきます。

~ニッパーの使い方~
 ニッパーの刃表は、握ったときにフラットになる面です。V字は裏側です。
 爪をカットするときは、刃表側を利用者の方に向けて切ります。
 持ち方は、上の柄を固定し下の柄を握ります。そうすることで下の刃が固定され、
 上の刃だけが動いて安全にカットすることができます。

 刃は爪のカーブに合わせ少しずつ切ります。ニッパー、または爪切りの刃の端を爪の端に入れて、まっすぐ切り進めていきましょう。


②爪の両端を少しカット。

 とがっているところはやすりで整えます。

 スクエアオフとラウンドの選択基準は特にありませんが、どちらかというとラウンドのほうが「指から爪がはみ出にくい」かと思います。指から爪がはみ出てしまうと、隣の指にあたり、傷を作ってしまう可能性があるので、どちらの形にしても「指からはみ出ないように」カットして整えてください。

③やすりをかける

 爪を切っただけだと、角(とげ状)が残ったままになりますので、やすりをかけて滑らかにして、触ってもひっかかったりしないようにします。

 爪が厚いときにも、やすりをかけて薄くしてから切ります。また、角が軽く食い込んでいる場合も、やすりを使って角を削ります。


・一方向にやすりを動かす(往復にやすりを動かさない)
・垂直から斜め45度くらいの角度で爪にあたるようにする

 爪をしっかりとケアすることで、利用者の足を守り、安全にケアを行うことができます。

 作業が大変な時は、「今日は爪と皮膚を分けるだけ」「今日は一番爪が伸びている親指だけ」でも構いません。
ぜひ今日からやってみてください。

 次回は「爪のお手入れの仕方~応用編」についてお話ししたいと思います。