前回の最後に、
「まずは利用者の足を見る機会を多く作ることです。」
「全身観察が当たり前なのに足だけが置き去りになっているような気がしてなりません。」
と、お話させて頂きました。
また、足のトラブルは、見た目ではっきりわかるものだけではありません。高齢者介護に携わっている読者の皆様であれば、認知症のために自分の意思をうまく伝えられない方が対象となることもあるでしょう。
そこで、今回は「利用者の足を見よう」をテーマにお伝えしていきます。
〈足のトラブルを見逃すと…〉
「浮腫んでいる足」や「肥厚している爪」はパッと見て気づきやすいものです。
しかし、しっかり見ないと発見できないトラブルもあり、それが後に大変な足病変に繋がるケースも多くあります。
例えば、足のトラブルにより第1趾(足の親指)に痛みがあると、そこに荷重がかからないよう、かばいながら歩くことになります。すると、どうしても第5趾(足の小指)側に荷重が集中します。
それを長く続けると、荷重がかからない第1趾の巻き爪が進行してしまったり、第5趾側の荷重が影響してO脚になったりすることがあります。
この他にも、身体に様々な影響が出たり、足がうまく使えなくなったりする可能性があるのです。
そうならないためにも、利用者の足をしっかり観察しなければなりません。
〈足の観察~フットチェックのポイントについて〉
足をみるポイントはいくつかありますが、まずは「目で見る」と「触れてみる」の2つに大きく分けられます。先にも述べたように、見た目だけでは判断できないことも多くありますので、しっかりと「触れる」ことが大切です。
今回は「目で見るポイント」として、次の8項目について解説します。
「目で見るポイント」の8項目
①皮膚の色 ②爪の色 ③爪の長さ ④爪の厚さ
⑤爪の形 ⑥足の形 ⑦足の趾 ⑧浮腫 |
①皮膚の色
炎症や血管障害、出血、白癬などがあると、皮膚の色が変化します。
赤みがある、暗赤色になっている、白っぽい、黒っぽい、紫がかっているなど、足全体や限局した部分が異常な色になっていないでしょうか?
また、うおのめやたこは、疣贅(いぼ)はないでしょうか?
それらが痛みにつながり、正常な歩行を妨げている可能性があります。

②爪の色
黒、赤、青、白、黄、緑などになっていないでしょうか?
爪の変色には様々な病変が考えられますので、注意して観察してください。
〈爪が白濁または黄濁してる〉
爪白癬のケースが多く見られます。
〈爪が緑色になっている〉
カビが増殖してる場合があります。
〈爪が黒い〉
爪甲皮下出血の痕の場合もありますが、稀にメラノーマ(皮膚がん)の場合もあります。

③爪の長さ
短すぎたり、長すぎたりしていないでしょうか?
〈爪が短すぎる〉
指先を守る事ができず、足を踏ん張る力も減少します。
また、巻爪や陥入爪になりやすいと言われています。
〈爪が長すぎる〉
靴が履きづらくなったり、自分の爪で傷を作ってしまったりする可能性があります。

④爪の厚さ
あきらかな厚みがあったり、薄すぎたりしていないでしょうか?
〈爪が厚い〉
爪を切るのが困難になります。
また、靴を履いたときに圧迫され、痛みが生じることもあります。
〈爪が薄い〉
爪としての機能が働かず、短い爪と同様に踏ん張りが効かなくなることもあります。
また、隠れた疾患が原因となっている場合もあります。

⑤爪の形
爪が巻いていないでしょうか?
また、上や下に反っていたり、斜めにはえたりしていないでしょうか?
爪に変形により痛みが生じたり、靴が履けなかったりと、歩行に支障が出る事が多くなります。

⑥足の形
外反母趾や内反小趾などはないでしょうか?
また、尖足になってはいないでしょうか?
足に変形があれば、歩行困難になる場合もありますし、転倒リスクも高くなります。

⑦足の趾
足の趾が曲がっていたり(ハンマートゥ)、隣の趾と重なっていたりしていないでしょうか?
趾の変形は、足の変形と同様に歩行困難を招く場合がありますし、転倒リスクも高くなります。
また、指が屈んでいる状態で靴を履いていると、関節のところに傷ができやすくなります。

⑧浮腫
いつも浮腫んでいるのでしょうか?浮腫む時間帯があるのでしょうか?
また、浮腫むのは両足でしょうか?それとも片足でしょうか?
「廃用性浮腫」のように、何も疾患がない場合の浮腫もありますが、心疾患や血管障害、血流障害などの様々な疾患が隠れている可能性もありますので、しっかりと確認をして下さい。

なお、しっかりとフットチェックをしたら、ケア記録などに記入しましょう。文字だけでなく、写真を撮っておくのもよいかと思います。
いずれにしても、「利用者の足の状態」を把握することが「利用者を守る」事に繋がりますので、しっかりとチェックしてみてください
次回は「触れてみるポイント」をお伝えしたいと思います。 |