介護スキル


【第1回】 「介護フットケアって重要なの?」

〈改めて「介護フットケア」を考えよう〉

 新型コロナウイルス感染症が拡大し始めてから半年が過ぎました。当初の自粛ムードの中では、通所サービスや地域サロンといった高齢者の外出の場が減少し、さらには、持病があったとしても通院もままならない方もいたようです。

 一方、現在はその状況も回復しつつあり、外出する高齢者も少しずつ増えているように思います。しかしながら、長い期間の自粛生活の中で筋力が低下し、転倒するケースが多く各自治体に報告されています。

 すでに超高齢化社会を迎えている日本にとって、「高齢者の筋力低下」は大きな問題です。未だにコロナ禍での自粛生活を続ける高齢者や、最低限の介護サービスや有償サービスだけで生活している要介護、または要支援者の足は、誰が見守り、助けるべきなのでしょうか?


 「介護フットケア」は行為そのものに制限があり、取り組みが難しいと言われています。

○医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)
(平成17年7月26日)(医政発第0726005号) より一部抜粋

①爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に、その爪を爪切りで切ること及び爪ヤスリでやすりがけすること
(参考URL:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2895&dataType=1&pageNo=1

 しかし、もう一度改めて考えてみてください。患者であれ、介護保険利用者であれ、障害者総合支援法利用者であれ、「日常生活に一番関わる」のは、介護従事者です。足病変をいち早く発見し、重症化を予防するためには、日常生活に寄り添う介護従事者の力が必要不可欠なのです。

〈「歩けること」の幸せ〉

 繰り返しになりますが、要介護または要支援者に対して、靴下の脱ぎ履きや入浴の介助をし、足浴、清拭、保湿などを行うのは介護従事者です。介護従事者が「足病変」の知識をしっかりと学び、治療はできなくとも早期発見、または予防に繋げていくことができるのです。

 立つことや歩くことは、快適に人生を過ごす上で非常に重要です。健康で歩くことができる人にとっては、「歩ける」ということが当たり前で、自分の足で行きたい所に歩いていけるということの重要性があまり認識されていません。

 また、健康な人にとってはなんでもない小さな傷が、高齢者や病気を持った人には大きな問題となることもあります。

 私は、介護フットケアの目的を、「少しでも長く歩ける足を守り、足から全身を診ること」と考えています。足を良く観察することにより今後起こる可能性のある問題を予防することが期待できます。

 多くの人にとって、「歩ける」ということがあまりにも当たり前になっていて、「歩けなくなった時」を想像することはほとんど無いと思います。「歩ける」という事が実はどんなに素晴らしい事なのか、自分の足で行きたいところに好きなように行けるという幸せを、もっと知るべきだと思います。

 では、歩けなくなった時、もう足は不必要なのでしょうか?

 そうではありません。歩く手段として足はもちろん重要ですが、足は全身の健康の為に必要なのです。歩けなくなったからといって、足を大切にしなくてもいいということではないのです。

〈足を見る機会を増やしてほしい〉

 ここ数年で、「高齢者へのフットケア」「介護のフットケア」「介護予防のフットケア」という言葉が浸透してきた、または聞き慣れてきたのではないかと思います。また、個人や団体など様々な形でフットケア研修会が企画されており、参加したことがある方も多いかと思います。

 利用者のために少しでも知識を増やし役に立ちたい!爪切り事故をなくしたい!足を楽にしてあげたい!という前向きな気持ちから出る行動には、同じくフットケアに携わる一人として、とてもうれしく感じています。

 しかし、その一方で一番大事なことが抜けているように思うことがあります。それは、「どの利用者のどんな足をどうしたいか」ということです!

 私も多くの研修や講演を行いますが、参加される方の半数以上は、「ある利用者さんの足」だけをイメージしています。

「いつもAさんの足は浮腫んでいるから」
「Bさんの足は爪が肥厚していて誰も切れなくてなんとかしたい」

 でも良く考えてみて下さい。利用者はその方々だけではなく、他にも何十人何百人といらっしゃるはずです。そして、たいていの方には足があるはずです。

 もっと言ってしまうと、「足のトラブルは見た目ではっきりわかるものだけではない」ということです。見た目は綺麗な足でも、何かトラブルがあるかもしれません。ましてや認知症の方や意思を上手く伝えられない方はどうでしょう?

 見るからに浮腫んでいる足、見るからに肥厚している爪はパッと見て気づきやすいですが、しっかり見ないとトラブルが発見できないこともあり、それが後に大変な足病変に繋がるケースも多くあります。そうならないようにどうすればいいのでしょうか?

 まずは利用者の足を見る機会を多く作ることです。

 現状では、入浴や清拭の時しか足は見ない人も多いと思います。もしかしたら、その時ですら見ない場合という人もいるでしょう。

 全身観察が当たり前なのに、「足だけが置き去り」になっているような気がしてなりません。

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 この連載では、高齢者に対するフットケアの重要性をふまえながら、介護職にもできる安全なケアの提供方法をお伝えしていきたいと思います。次回は「利用者の足をみよう」というテーマで足をみるポイントをお伝えします。